はてな広報ブログ

株式会社はてなの広報ブログです。ウェブサイト「はてな」の話題やイベント情報、サービス開発の裏話など多彩な情報をお伝えします。

はてなサマーインターン2009、もしくは学習曲線の傾きを極大化させる試み

2009年夏に開催したはてなのインターンシッププログラム「はてなサマーインターン2009」の紹介ページがはてな求人ページ内に公開されました。

このページでは、エンジニア部門とデザイナー部門、それぞれのプログラムの講義内容や実践内容、期間中の様子などを詳細にレポートしており、はてなのインターンシップがいかに濃いもので綿密にプログラミングされているかをお分かりいただける内容となっています。
「インターン生の集中力を最大限引き出す良いカリキュラム」と参加者に言わしめたはてなのインターンシッププログラムがどのような思想を元に設計されたか、今回のインターンシップを統括した執行役員のid:stanakaがご紹介します。

はてなサマーインターン2009設計の意図

こんにちは、今年のはてなサマーインターン2009を統括したid:stanakaです。はてなのサマーインターンでは、プログラムの各所で「学習曲線の傾きを極大化させる試み」を盛り込んでいます。具体的には、

  • ゴール設定を明確にし、Top of topsを目指す
  • 集中力を切らさず、成果に繋げるプレッシャーを与え続ける

の2点を意識してプログラムの設計をしています。

インターン期間が4週間(前半の講義テーマ後半2週間の開発内容)というのは、インターンとしては中程度の期間ですが、これはウェブアプリケーション開発の分野で、一定の成果を出しつつ、集中力を切らさない程度のちょうどいい期間だと思います。それ以下だと成果のボリュームが不足しますし、それ以上だと中弛みが発生してしまいます。

ゴール設定を明確にし、Top of topsを目指す

はてなのインターン(特にエンジニア)ではウェブアプリケーション開発に関わってもらっています。

はてなサマーインターンにおけるゴールは「要求された機能・サービスを、期間中に一定以上の品質で実装し、さらに一捻り加えられるようになること」です。このゴール設定はウェブアプリケーション開発のための基礎体力の蓄積を意図としており、深いアルゴリズムの開発とかサービス全体の再設計のような遠大なことは目標としていません。なにが目的であるか、ということを明確にするのと同時に、なにが目的でないか、ということを明確にすることも同じぐらい大事です。

その上で、このゴールのTop of topsを目指すことを、インターン生全員に意識してもらい、自らの現在の立ち位置と目標の距離感を掴んでもらいます。正しく距離感を掴むことは、期間中に集中力を維持する上で必要なことです。

集中力を切らさず、成果に繋げるプレッシャーを与え続ける

ゴール設定を明確にした後は、ひたすらゴールに向かって突き進むだけです。講義・演習を行う前半は一日単位の細かいフィードバックを与え、学習効果を加速させます。また、前半の結果でプログラム後半に進めるかどうかを決定するハードルを設けています。細かいフィードバックと、結果に対するハードルをすこし苦しいぐらいに維持することの2点で日々の密度をできるだけ高めています。実際、インターン生は、相当に頑張ってもらっていますので、前半の終りの時期には、かなりキツいことになっていました。

後半の日程は、チームでの開発に巻き込むことで、より実践的、応用的な開発経験を積んでいきます。はてなの開発スタイルは、毎日の朝会での進捗確認があり、開発の方針のブレや遅れが発生していないか日々チェックします。このようにすることで、実装の細部まで神経を行き渡らせ、自らが書いたコードをプロダクションレベルまで昇華させることを学習してもらいます。

後半で実際になにを作ってもらうか、というのは、プログラム設計でも一番難しいところです。機能が小粒すぎると面白くもなく簡単になりすぎます。一方、目標が大きすぎると期間内に収束させることができなくなります。実際、昨年のインターンでは、インターン中にリリースまで持っていくことができず、1ヶ月程度経ってから、ようやくリリースできた機能もありました。

今年のインターンは、この設定が比較的うまくいって、結果的に3チームとも最終日にリリースできる、という丁度いいサイズの課題設定ができました。もうすこしプレッシャーを与えてもよかったかな、とは思いましたが、まずまず及第点だったのではないでしょうか。

やり残したことと来年に向けて

昨年と今年のインターンを通じて、インターンプログラムとしての完成度はだいぶ高まってきていると感じます。来年も、時代に合わせた微調整を続けつつ、ウェブアプリケーション開発における、より本質的なことをさらに加速して身につけてもらえるように、プログラムのブラッシュアップを続けたいと思います。

来年も、我こそは、という方のご応募を心からお待ちしております。